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ヨウムの乱獲による個体数減少と国際取引禁止への備え
どうやらヨウムの生息国の働きによって今後ヨウムがワシントン条約cites 附属書Iに引き上げられる可能性が出てきましたね。
共同通信のこの記事によるとヨウムの生息国の一つであるガボンがヨウムの乱獲によって個体数が激減しているため国際取引を禁止する提案を各国に行い、EUやアメリカもそれに同調する公算が高いようです。
正式に禁止されるかは2016年9月に南アフリカで開かれるワシントン条約の締約国会議で議論され決まるようですが、これまでにもこの案件は議論されてきましたから今回は決まってしまう可能性が高いかもしれません。
アフリカのヨウム生息国でのヨウムの乱獲の現状を考えると今回のこの動きは仕方のないことと言えるかもしれません。
今回の報道での国際取引禁止に至る調整の「ワシントン条約 cites 附属書I」とは何でしょうか?国際取引を規制すべきと各国が判断した動植物はワシントン条約で附属書とよばれるリストに掲載されそれらの動植物は絶滅の可能性の度合いやその動植物が他国の動植物に与える影響などによって附属書I、附属書II、附属書IIIに分類されます。
ヨウムはこれまでは附属書IIに掲載されており将来絶滅の危険性が高いので輸出入には輸出国の政府が発行する許可書が必要であるとされていましたが商業目的での輸出入は可能でした。
それが附属書Iになりますと、今すでに絶滅の危険がある動植物となり、商業のための輸出入は禁止され学術的な研究のための輸出入は可能ですがその際も輸出国と輸入国の政府が発行する許可書が必要となります。
ではもし今回の規制が実際に施行されたらヨウムはもう購入できなくなるのでしょうか?
必ずしもそうではありません。ワシントン条約のデータベースによると、日本は2010〜14年に2400羽を超えるヨウムをコンゴ民主共和国などから輸入したとされていますが、今回の規制が施行されたらそのような国の野生のヨウムを捕獲して輸出することはできなくなります。
ただ、現在日本に輸入されているヨウムの多くはフィリピンや台湾などのブリーダーから人工繁殖されたものです。
それらの人工飼育により繁殖させたものについては特別規定があるようです。その特別規定に該当する繁殖のものは附属書Tに付属するものであっても附属書Uの扱いとなり、輸出国政府機関発行の繁殖証明書をもって輸出許可書に代えることがでるようです。
ですから9月にヨウムがワシントン条約cites 附属書Iになることが決まってもすぐにペットショップからヨウムがいなくなることはないでしょう。
ただ恐らくフィリピンや台湾などのブリーダーは直接あるいは間接的に生息国から親鳥を輸入して繁殖を継続していると思われますのでそれができなくなってゆくなら繁殖個体で繁殖を繰り返すには限界があるため年々繁殖個体のヨウムの数は減少してゆき、いずれペットショップではヨウムを見ることは少なくなってゆくのではないかと思われます。
私は日本国内でヨウムの繁殖を行なっている数少ないブリーダーの一人ですが今後どうしてゆくか悩ましいところですね。
野生のヨウムが絶滅してしまうのはなんとしても避けなければならないことではありますがペットとしてのヨウムがいなくなってしまうのも寂しいことではないでしょうか?
ヨウムが今以上に希少になり価格が大幅に上昇することによって飼育者が減少することもペットのヨウムたちにとってはデメリットの方が大きいのではないでしょうか?
ガボンも国際取引の禁止を他国に提案する前に自国の密猟者をもっときちんと取り締まれよと言いたい気もしますが。。。
法律というものはいつの時代にも非常に融通の利かない大雑把なものです。規制後に相変わらず野生のヨウムが減少を続け、ペットのヨウムも飼育者も法のもとで苦しむといったことにならないことを願います。
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今回の規制が施行されたならヨウムの購入を希望なさっておられる方はもちろん今すでにヨウムを飼育されている方も注意しなければならないことがあります。
ワシントン条約 cites 附属書Iにヨウムがなった場合、現在ヨウムを飼育されている方は引き続き飼育することは可能ですが、何らかの事情で手放さなければならなくなった場合、たとえ家族であっても無償であっても動物園など以外は譲渡できなくなってしまいます。
もしそれに違反した場合、5年以下の懲役あるいは500万円以下の罰金に課されます。販売目的で陳列したりインターネットに広告を掲示しても罰せられます。それを防ぐには飼育しているヨウムを国際希少種の登録を行い登録票を入手しておく必要があります。
詳しくは自然環境研究センターに掲載されていますが、登録に必要なものは大まかに述べると、
登録申請書。登録個体の写真。繁殖証明書。購入の際のレシート。健康診断時の書類など。手数料1個体\5000。
実際に登録するのはヨウムがワシントン条約 cites 附属書Iになってからですが今から書類などを準備しておくと良いでしょう。またこれから購入なさる方、特にワシントン条約 cites 附属書Iになってから購入なさる方は上記の点を十分に確認の上購入なさってください。
今回ヨウムの取引禁止のことが大きく取り上げられていますがこのようなことは過去にもありました。
ワオキツネザルもそうですし、コンゴウインコもベニコンゴウやルリコンゴウはcites 附属書IIですがコンゴウインコやスミレコンゴウはcites 附属書I、コバタンもcites 附属書I。オオバタンもcites 附属書Iです。
シロビタイムジオウムもcites 附属書I。フィリピンオウムもcites 附属書Iです。
そう考えると今後なされるかもしれないヨウムに関する規制はそれほど驚くことではないと言えるかもしれません。コバタンやオオバタンも価格は高額になりましたがショップから購入できなくなったわけではありません。
つまり、ヨウムも取引に関してはコバタンやオオバタンと同様にみなされるということなのです。
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